【グレナム】

はじめて人形を創り出したとされる偉大な錬金術師。
真に人形を創れるのは彼だけなのだとも言われている。

学問の旅をしていた ペルシアの学者であるとも、
コルドバの都に住んでいたユダヤ人の 医師であるとも、
コルドバに留学していたガリアの 貴族であるとも言われているが、
後ウマイヤ朝滅亡の際の混乱で記録が 散逸しているため、
真相は定かではない。

人形が生まれてから数百年たったこの時代にもなお、若い姿のままで
生き続けていると言われるなど、彼にまつわる伝説は多い。


【ガラス工芸】

錬金術の発展には、そのための実験器具が欠かせない。
かつては陶器・金属製の器具がよく使われていたが、実験器具としての
使い勝手が良くないため、比較的早い時期からガラス工芸技術が発展する
こととなった。

史書によれば、グレナムの時代にすでにレンズ(その応用である眼鏡、
顕微鏡、望遠鏡)、ガラスランプなどが存在していたらしい。

なお、安価に量産する工法が考案されていないため、板状のガラスは
タルファンたちの時代においても貴重なものとされている。

【建築】

外敵から街の住民を守るために作られた市壁、あるいは城砦は、
この時代にも存在している。
しかし、その意義は獣・人形の誕生により変化している。

かつて、攻城戦においては、最低でも守備側の3倍の兵力が必要と
され、運搬に難のある攻城櫓・投石機などが不可欠とされていた。
しかし、強力な獣や、人形の武器を使いこなす剣士の前には堅固な
城壁といえど陣幕程度の意味しかない。
そのため、攻城戦にはそれほど大規模な準備が必要とはされなく
なくなったのである。

もっとも、城砦を無力化してしまえるほどの力を持つ者は
そう滅多に存在しているわけではないが。

【防具】

以前から普及しつつあった鎖かたびら(メール・ホウバーク)は、
重いだけで獣の爪や牙を防ぐことはできなかった。
より強靭な鎧を板金によって作成する試みも行われたが、
当代きっての名匠たちが最高の技を駆使した先進的なものですら、
獣の力・人形の創り出す武器の前には気休め程度の効果しか
発揮することはなかったのである。

タルファンたちの時代には、金属よりもはるかに強靭で軽い獣の皮を
利用した革鎧が防具としての人気を得ている。
中でも、かつてコルドバの都が存在していた地域周辺で狩られた
獰猛な獣の皮を素材とする「コルドバ革」の革鎧は最高級の品と
されている。

【戦法】

我々の世界の中世に流行したような、重い金属鎧をまとって
騎馬で突進する戦法は発達しなかった。
この世界で代わりに発達したのは、人形と騎士が共に馬に
乗って戦う方法である。

身体を再生できる人形が、文字通り「生きた盾」となって
主人を庇いながら突撃する戦法は強力無比とされ、美しさも
あいまって多くの詩人が好む題材となっている。

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